本日はお日柄もよく

本日はお日柄もよく

この小説は、平凡なOLが特別な才能を見出され、才能を発揮し活躍する話です。
活躍する場所は、、スピーチライターです。

言葉を操る仕事として近い、作家とスピーチライター。
読者が話の流れの中で言葉に集中する作品で、伝説のスピーチライターの作品としてスピーチを表現する。
作家としてプレッシャーのかかるのか、張り合いがあるのか。
どちらにしても勇気のいることだったんじゃないかと思います。

スピーチで感動したことはありますか?
平会社員の私にはスピーチをする機会はありません。
聞く機会も会社の飲み会でのお偉いかたの乾杯のご挨拶くらいでしょうか。普段は。
結婚式のスピーチも含めて、上っ面な人物紹介とか当たり障りのない挨拶とかであふれています。
スピーチで感動したのは部活の先輩が引退式でした挨拶くらい。

私にとってのスピーチは「校長先生の挨拶」と同義でした。

そんな私が前半の結婚式のスピーチでは素敵な言葉の流れをみることができました。
スピーチっていいものだな、って純粋に思いました。

本日はお日柄もよく

主人公の師匠がいうわけです。
「最近使う人が減ったけど、いい言葉よね。本日はお日柄もよく」

本日はお日柄もよく。
いい言葉です。この言葉がこの小説をよく体現していると思います。

残念ながら、、、

残念なこと、それは私がこの作品を読んだのが2016年になってしまったということ、それだけです。

作中では、スピーチにスポットライトを当てるための舞台、小道具として「政権交代」が使われます。
この小説は2010年に刊行されたそう。
この点だけが残念です。

現実の政治と物語をリンクさせてしまったことで、スピーチの良さ、ではなく内容がないことを脚色する、虚飾する、という側面にどうしても意識がいってしまいました。
だから、私がスピーチに感動できたのは、前半の結婚式で終わってしまったのです。

ただし、作品の運命というものはこんなことで決まってしまうものかもしれないとも感じました。   今もまだ民主党が政権を維持していたら、、この作品の評価すら変わってしまっているかもしれません。

非常に

いい作品でした。
前半は作品に没頭でき、自分の話すこと、言葉の使い方を意識してみようかな、と、この作品のおかげでそう思うことができました。